[レポート] K-1 基調講演 – Snowflake Data Cloud World Tour Tokyo – #SnowflakeDB
2023年09月08日(金)、ANAインターコンチネンタル東京にて、Snowflake社による日本最大級のデータイベント「Snowflake Data Cloud World Tour Tokyo」が開催されました。
「Snowflake Data Cloud World Tour」と銘打っているように、このイベントは全世界3つのリージョン(APJ, Americas, EMEA)、26の都市で継続的に開催されています。東京での開催はその一環という訳ですね。
当エントリでは、イベント内『基調講演』における参加レポートをお届けします。
目次
セッション概要
アジェンダに記載されているセッションの概要は以下の通りです。
・オープニング
・Snowflake ビジネス・技術の最新情報
・Snowflake日本の最新情報
・国内カスタマーエグゼクティブとの特別対談
・Data Drivers Awards 2023の発表
<登壇者>:
・UQコミュニケーションズ 執行役員常務 KDDI株式会社 代表取締役社長 竹澤 浩 氏
・NVIDIA 日本代表 兼 米国本社副社長 大崎 真孝 氏
・Snowflake Inc. 会長、最高経営責任者 Frank Slootman氏
・Snowflake Inc. プロダクト担当上級副社長(SVP) Christian Kleinerman氏
・Snowflake Inc. 最高マーケティング責任者(CMO) Denise Persson氏
・Snowflake株式会社 社長執行役員 東條 英俊氏
・Snowflake株式会社 マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャー兼 エヴァンジェリスト KT氏
<セッションの説明>:
Snowflakeとお客様のエグゼクティブが登場するDATA CLOUD WORLD TOUR基調講演にようこそ!
データクラウドでは、次の新たなイノベーションの波が起こっています。オープンテーブル形式の進化、生成AIとLLM、Snowparkを利用した柔軟なプログラマビリティなど、データクラウドの次のイノベーションの波についてご紹介します。開発、運用から消費に至るまで、データクラウドでは、データ、コンピュート、エコシステムのすべて制約なくひとまとめにし、AI/MLイニシアチブの実現に活用することができます。
データクラウドを利用してデータサイロを解消し、ビジネス全体でデータを安全に活用している地元のお客様からお話をうかがいます。さらに、Snowflakeがデータで何ができるかという点を常に再定義し続けている様子もご紹介します。
セッションレポート
基調講演は述べ1時間30分ほどの時間枠で、それぞれのパート毎に登壇者が入れ替わり立ち替わり変わる形で進行していきました。当エントリではそのパート毎にざっくりどんな感じのことを話されていたのかについてお届けしたいと思います。
オープニング
まずはSnowflake株式会社 東條 英俊氏 の冒頭挨拶から。この日は朝からちょうど関東地方を直撃していた台風の影響を受け、朝イチのこの基調講演に際して参加者の皆様のご来場状況も心配されていたのですが、蓋を開けてみれば(幸い朝方はまだ台風の影響をそこまで受ける状況でもなかったのもあり)ほぼ満席で埋まった状況となりました。
東条氏は「Snowflakeは雨になんか負けません!先日開催されたラスベガスではたくさんのイノベーションを発表しました。これを受けて、日本のお客様にも是非情報をお届けしたいと思っています。事例やパートナーソリューションについてもご紹介したい。Snowflake Japanにとって重要な一週間、(日本展開)5年目に突入した節目のタイミングでもあります。皆さんの元気を頂いて、今日一日頑張っていきたいと思います!」とイベントの開始を華々しく盛り上げました。
ちなみにリアルクマ太郎は前説的な立ち位置で参加者盛り上げに頑張っておりましたよ。
Snowflake ビジネス・技術の最新情報
東条氏からバトンを引き継ぐ形で、Snowflake Inc.から来日されていたc、Christian Kleinerman氏がSnowflakeにおけるビジネス及び技術の最新情報について語りました。
Christian Kleinerman氏はSnowflake社にとって日本がいかに重要で大きなマーケットなのかについて力説。50名の日本社員、また500社のお客様規模となっている日本市場は近いうちに倍近い成長を遂げていくだろう、とコメント。
また、氏はSnowflakeが「データサイロの解消」を目指していること、エンジニアリングの投資を多く行ってきたこと、様々なワークロード対応の解説を踏まえて「データで行いたいことはSnowflakeで出来る」ということ、Snowflakeの強みとして「強力なアプリケーション群が扱えること」「大手の企業がコンシューマ向けのアプリを作っていること」「Snowparkコンテナサービスにより、今後はどんな制約も排除していけるようになること」等にも触れ、Snowflakeの全方位的な魅力をアピールしていました。
Snowflake社のKT氏によるMCをはさみ、Snowflake Inc.からChristian Kleinerman氏が「Snowflakeプロダクトの真髄」について語りました。
(※KT氏。要所要所に差し込まれるトピックの概要まとめ的なコメントと、コメントと合わせて差し込まれる魔法詠唱的な「Snowflake♫」(発音アクセント的には「スノォォォォフレェェェイク♫(キラキラ))の掛け声にはプロフェッショナルみを感じました )
Christian Kleinerman氏は現在データの世界でどんなイノベーションが起きているのか、「完全なデータプラットフォーム」と謳うSnowflakeにどういった強みがあるのか、という点について以下3点の切り口で解説を行いました。
- シングルプラットフォーム
- デプロイ/ディストリビュート/マネタイズ
- トレードオフのないAI/MLの提供
Snowflakeが開発者向けに提供しているフレームワーク「Snowpark」については、今では30%のお客様が週次ペースで利用されているそうです。
また、開発環境、プログラミング周りでは今後も以下のような様々な改善が予定されているようです。楽しみですね。
ここまで言及されたトピックにおいては、Snowflake株式会社の若松智子氏&増尾卓巳氏によるSnowflake実演デモが行われ、様々な機能の有能さ、パワフルさを実感出来る興味深い時間となりました。
デモの後にはChristian Kleinerman氏が再び登場、以下のトピックに関して言及、紹介が為されました。
- Snowparkコンテナサービスに関する追加解説、Snowparkコンテナサービスの一覧
- AI/ML、大規模言語モデル(LLM)関連
- SnowflakeとNVIDIAの連携
- Snowflakeとai21labsの連携
Snowflake日本の最新情報
イベントの中では、日本国内におけるSnowflakeのネイティブアプリフレームワークの展開として、NTTデータとTRUESTARからのアナウンスがありました。
NTTデータの件については少し前にさがらがブログで言及しています。
TRUESTARについては「緯度経度を住所に変換する逆ジオコーディングアプリを無償提供開始」という展開をアナウンスしています。(※イベント当日、代表の藤氏と久々に会話する機会があり、色々お話させて頂きましたが、このリリースはめちゃめちゃ熱い展開だなぁ...と感じました。)
遂にリリース。
PODB初のアプリです。
逆ジオコーディングを何と無償で。Snowflakeマーケットプレイスでデータ分析アプリを無償リリース! https://t.co/uu2T9DiJo4 @PRTIMES_JPより #PODB #Snowflake
— Toshikuni Fuji (@VToshikuni) September 7, 2023
国内カスタマーエグゼクティブとの特別対談
今回の基調講演では、Snowflake東条氏との「対談」形式で、日本から2名のカスタマーエグゼクティブが登壇する形となりました。
特別対談1:大崎 真孝氏
(NVIDIA 日本代表 兼 米国本社副社長)
東条氏は対談に先立ち、「自分自身、業界経験は25年以上となるが、今回の生成AIに関する盛り上がりは久々に「破壊的なイノベーションであり、テクノロジーである」という実感があったそうです。
Snowflakeとしてはこの分野での展開を強固なものとすべく、NVIDIAとの提携を2023年06月のSnowflake Summit内で発表。グローバルでの発表ではあったが、日本でも展開をしていくとのこと。日本の企業の皆さんにもご利用頂ける形となります。これを踏まえてNVIDIA日本から大崎氏が登壇する運びとなりました。
- 東条氏:
- NVIDIAさんのGPU、それからNeMoという生成AIのソリューションがSnowflake上で、統合される形でご利用頂けるようになる。日本のお客様にとって、今回の提携はどのような価値をもたらしてくれるようになるのか。
- 大崎氏:
- NVIDIA JAPANとして、過去5年ほど、グローバルの市場においてLLM、生成AIなどの規模感やスピードの変遷についてずっと見てきていた。日本に来るのはいつなのかと見ていたが、ようやく本格的に開発・実装が為されようとしている。生産性向上が今後の日本の産業を維持し、また盛り上げていくために重要。そのためにLLM、生成AIのモメンタムがギリギリのタイミングでようやくやってきた。我々も日本で培って来たものがたくさんあるので、それらを組み合わせて世界に追いつき、追い抜く大きな可能性を秘めていると感じる。
- NVIDIAとしては最新・最速のGPUコンピューティングを提供していく。そして同時に我々は現在ソフトウェアにものすごく力を入れている。今回Snowflakeさんの発表にもあったSnowparkコンテナに私達NVIDIAのAI、マシンラーニングのフレームワーク(これは100以上ある)を結合していく。生成AIの活用自体は真のDXのブレークスルーになっていくのでは、と考えている。
- 東条氏:
- これまでなかなか手の届かない、高度なテクノロジーという印象があったと思うが、こういう提携、連携によって皆さんにも身近に生成AIが活用出来るようになってきている。節目を迎えていると感じている。日本のSnowflakeのお客様を見ても多種多様な業種業界のお客様がいらっしゃる。Snowflakeの中に自社のデータを格納して日々分析に使っていただいている。また第三者のオープンデータ・サードパーティデータを組み合わせて分析を進めたりもしている。こういった活用をすることがLLMのモデル構築には非常な重要なソースになってくると思うが、こういうデータをNemoのようなソリューションに載せることでまた新たな価値を提供出来るのでは。このあたりで面白いアイデアやお考えなどあればお聞きしたい。
- 大崎氏:
- 先程お話ししたように、生成AI、LLM界隈は非常に巨大になってきている。日本国内でも、その影響は各企業に影響していく、落ちていく、各企業から様々なLLMが生まれてくるのではと思っている。セキュリティ要件なども影響してくると思うが、まずは企業様の中で業務効率を上げるなどの目的でAI活用が為されていくと思うし、それらで培ったものが外の世界のサービスや製品で展開され、そういう部分の積み重ねが競争力の差となっていく、その競争力が企業のブランドとなっていく...という風に考えている。
- 日本を含めて全世界で1600社以上の企業が私達のAIを使って生成AIを利用している。NeMoを使って頂いて真のブレイクスルー、破壊的イノベーションを起こして頂きたいと考えている。
特別対談2:竹澤 浩氏
(KDDI株式会社 執行役員常務、UQコミュニケーションズ 代表取締役社長)
東条氏は「竹澤さんはもとより"データを中心に"様々な社内の改革を推し進めてきた立役者。データを元にファクトに基づいて営業の改革、マーケティングの改革を行い、リーダーシップを発揮されてきた」と紹介。竹澤氏によるKDDIの中期経営戦略の紹介がありました。
- マーケティング領域でお客様との接点を磨き、拡大していくことを磨いた
- そのためにデータ活用の"企業グループとしての"最適解を求めていくことが重要
- サスティナビリティ経営、なかなか1社でやるのは大変
- パートナーシップをドライバに社会企業価値の向上に勤めていきたい
- 我々子会社関連会社等を含めると150社以上、従業員も5万人規模。
- これだけ企業数が多いと「サイロ化」の発生を内在し、データリテラシーのギャップも発生し得るというのを肝に命じている
Data Drivers Awards 2023の発表
基調講演最後のパートは「Data Drivers Awards 2023」の発表です。Snowflake Inc.からDenise Persson氏がプレゼンターとして登場、KT氏とクマ太郎は「お色直し」の上再登場となりました。
アワードは都合6つ発表がありました。受賞された各企業・個人の皆様、おめでとうございます!
まとめ
というわけで、「Snowflake Data Cloud World Tour Tokyo」の基調講演レポートをお送りしました。
DevelopersIOでは引き続き、このイベントのレポートを随時お届けしていきます。下記特集カテゴリを是非ウォッチしておいてください!